事例
文の里の家
大阪府大阪市阿倍野区に建つ、延べ床面積199,67平米のコンクリート3階建て事務所併用住宅。121,72平米の敷地の中に、将来は2世帯住宅も考慮しつつ、親の仕事場、車2台の雨でも濡れない駐車場、茶室、日本画を描く母親のためのアトリエを計画した。
もう既に前期高齢者に差し掛かっている両親を考慮しつつの住宅だ。
1階は父親の仕事場の事務所と、車2台分のガレージ。
2階は将来高齢化しても対応できるよう、生活に掛かる全ての設備と寝室(キッチン、茶の間、玄関、風呂、脱衣、トイレ)とテラス。このテラスには、将来はエレベータの取り付け壁を造っている。
3階は長男の室、納戸、茶室、アトリエ。
当然各階にトイレが計画され、特に茶室のある3階のトイレは和服着用でも対応できるものにした。
こうした間取りであるが採光と通風を考慮し中庭型をベースに考えた。意匠的には私のデザインに共通している「日本的なもの」の中で、「透かす」というキーワードにした。そのイメージに合う材料の一つとしてパンチングメタルを使用している。これが障子効果のようになり、柔らかい光と風を通すスクリーンとなって隣家との壁の役割をし、その付き合い方もソフトにしているように思う。
内部の仕上げは、床は檜の縁甲板、畳廊下・壁は漆喰と、外観とは全くイメージの違うデザインにして、高齢者の理解の得られる仕様にしている。
1階と2階への移動は高齢者の筋力低下を極力押さえられるよう、普通に歩くごとく登り降りの出来る、低い段差の階段にしている。母親は今87歳だがなんの苦もなく今もこの階段を上り下りしている。
将来に備えてエレベーターの設置はできる様にしてあるが今の所その兆しは見えない。
住宅